インスタのDM、送ろうとして下書きを何回消したか数えたくない。いいねを何回かして、ストーリーにも反応して、いい感じになってきたかなと思って、いざDMを書き始めると手が止まる。何から書けばいいか分からない。「はじめまして」から始めるのも変だし、いきなり「最近の投稿見てました」も気持ち悪い気がするし。そのまま送れずに終わる。
スカウトで路上に立ってた頃、DMは仕事の一部だった。スカウトって路上だけじゃなくて、インスタ経由でのスカウトもある。知らない人のDMを開いてもらって、返信してもらって、会う約束まで持っていく。それを何百回もやってきた。
返ってくるDMと、永遠に無視されるDMの違い、かなりはっきりしてる。
インスタDMが難しい理由
文字だけで全部を伝えなきゃいけない
路上での声かけは、声のトーン、表情、距離感、全部が情報になる。
でもDMは文字だけ。温度感を伝えられるのは、言葉の選び方と文章の長さと絵文字だけ。情報量が圧倒的に少ない状態で、怪しい人じゃないことと、話しかけてる理由と、返信したいと思わせる何かを、全部一つのメッセージに詰め込まなきゃいけない。
これ、冷静に考えると相当難しい。
だから多くの人のDMが機能しない。情報を詰め込もうとして長くなる。長いと読まれない。読まれないと返ってこない。
スパムと区別されるまでが最初の壁
知らない人からのDMって、開いた瞬間から疑われてる。
業者か、ナンパか、宗教か、マルチか。このフィルターを最初の数秒でくぐり抜けないと、読まれないまま閉じられる。
路上で声をかけた瞬間の感覚と同じで、最初の印象で9割が決まる。DMも最初の一文で9割が決まる。
相手の投稿をちゃんと見てるかどうかがバレる
これ、意外と知らない人が多い。
テンプレっぽいDMって、受け取った側には分かる。「投稿いつも見てます、素敵ですね」みたいなやつ、全員に送ってる感が出てる。全員に送ってる感が出たDMは、特別感がゼロになる。特別感がゼロのDMを開く理由がない。
ちゃんと見てる人のDMは、具体性が違う。どの投稿の何が気になったか、という情報が入ってる。具体性があると、この人は自分のことを見てたんだ、となる。見てた人からのDMは開きたくなる。
返ってくるDMの構造
短い
これが一番大事で、一番守られてない。
知らない人からの長いDMって、読む気がしない。どれだけいいことを書いても、長い時点で心理的なハードルが上がる。返信するとなると、長いDMには長い返信を書かなきゃいけない気になる。そのプレッシャーが返信しない理由になる。
短いDMは読みやすい。読んだら返しやすい。短い質問なら一言で返せる。一言で返せるから、返信のハードルが下がる。
路上で声をかける時、最初の一言は短い。用件を全部言わない。入り口を作るだけ。DMも同じ発想。
具体的な一点に触れてる
投稿全体を褒めるより、一個だけ具体的なことに触れる。
「先週の京都の投稿、二条城の写真の光の入り方がすごくよかった」みたいに。写真全体じゃなくて、光の入り方、という一点。この具体性が、ちゃんと見てたよ、のサインになる。
具体性って、相手の投稿を本当に見てないと出てこない。だから具体的なことが書いてあるDMは、機械的に送られてきたものじゃないと分かる。人間から来た言葉だと分かると、返したくなる気持ちが生まれやすい。
返しやすい問いかけで終わる
一方的な感想で終わるより、相手が一言で返せる問いかけで終わる。
「この場所、どのくらいかかりましたか?」「この雰囲気のお店、他にも行かれましたか?」みたいに。答えやすい質問が末尾にあると、返信の入り口ができる。
難しい質問じゃなくていい。むしろ簡単な方がいい。答えるのに頭を使わなくていい質問の方が、返信のハードルが下がる。
状況別、具体的なDMの書き方
共通の知り合いがいる場合
これが一番ハードルが低い。
「〇〇さんの投稿で見かけて、気になってました」みたいに、共通の知り合いを経由した経緯を入れる。知らない人からのDMより、繋がりがある人からのDMの方が、警戒が下がる。
ただし共通の知り合いを使う場合、その人に悪影響が出ない内容にする。「〇〇さんから聞きました」みたいなのは、その人に確認取れてないならやめた方がいい。投稿経由で見かけた、くらいの書き方にとどめる。
投稿に共感できる内容がある場合
一番自然な入り口で、一番使いやすい。
「〇〇の投稿見て、自分も同じ経験があって思わずDMしました」みたいに。共感から入ると、共通点があるという情報が最初に出てくる。共通点がある人からのDMは、見知らぬ人からのDMより温度が高い。
スカウト時代、路上で声をかける時に観察コメントから入ってたのと同じ発想。目に入ったものをそのまま言葉にする。DMも、投稿を見て感じたことをそのまま書く。作らない。感じたことだから、言葉に熱量が出る。
フォロワーとして見てきた場合
しばらく見てきた、という場合。
「半年くらいフォローしてて、ずっと気になってたんですが」みたいに。時間を明示することで、衝動的に送ってきたわけじゃない、という信頼感が出る。ただしこれ、長すぎる期間を言うと逆にちょっと怖い感じになることがある。半年から1年くらいが自然な範囲。
「ずっと見てたけど勇気がなくて」みたいな正直な一言は、人間らしさが出て読んでもらいやすい。完璧に設計されたDMより、少し不完全な人間が書いた感じのDMの方が、返信したくなることがある。
同じ趣味や場所がある場合
「この場所、自分も先月行って」「このお店、ずっと気になってて」みたいに。
共通の体験や場所を入り口にすると、その話題で会話が始められる。DMで一から人間関係を作ろうとしなくていい。共通の何かを話題にするだけで、自然な会話の入り口になる。
趣味が同じ場合も使いやすい。「〇〇好きな人、周りにあんまりいなくて、見かけてうれしかったです」みたいに。少数派の趣味なら特に刺さりやすい。分かってくれる人に会えた感覚が生まれる。
やってはいけないDMのパターン
「はじめまして、〇〇と申します」から始める
これ、フォーマルすぎて温度がゼロ。
ビジネスメールじゃないから、自己紹介から入る必要がない。名前はプロフィールに書いてある。相手が知りたいのは自分の名前じゃなくて、なんでDMしてきたかの理由。
最初の一文でその理由を出す方が、読んでもらいやすい。
「かわいいですね」「きれいですね」だけ
外見への言及だけのDM、ほぼ全員が同じことを書いてくる。
フォロワーが多いアカウントだと、毎日届く。毎日届く言葉は薄くなる。薄い言葉には返信したくならない。
外見への言及を入れるとしても、投稿の具体的な何かへのコメントと合わせる。「〇〇の投稿の表情、なんかいいなと思って」みたいに、外見よりもっと具体的な部分に触れる。
長文で自己紹介する
自分のことを長々と書くDM、読む気がしない。
相手はまだ自分に興味を持っていない段階で、自分の情報を大量に受け取ることになる。情報過多で疲れる。返信のハードルが上がる。
自己紹介は最小限でいい。名前すら不要な場合がある。相手が知りたいのは自分のことより、なんでDMしてきたかの理由。理由が先、自己紹介は後。
重い感情を最初から出す
「ずっと気になってました」「どうしても話しかけたかった」みたいに、最初から重い感情を出すパターン。
気持ちは正直かもしれないけど、まだ何も知らない段階でその重さを受け取ると、相手は引く。重い感情って、関係がある程度できてから出すもの。最初から全部出すと、圧になる。
DMから返信が来た後の動き方
返信が来た最初のやり取りが全部を決める
返信が来たことに安心して、そこから雑になる人がいる。
返信が来た、という事実はあくまでスタートで、ここからちゃんと会話を温めないと続かない。最初のDMで入り口を作れたとしても、続くやり取りが機能しないと関係が進まない。
返信が来たら、相手が書いてくれた内容をちゃんと受け取る。受け取ったことを言葉にして返す。その繰り返しが、インスタのやり取りを電話や対面に繋げていく。
早めに別の連絡手段に移る
インスタのDMって、会話を続けるには少し不便。通知の出方とか、会話のテンポとか、LINEや電話より繋がりにくい部分がある。
ある程度やり取りが続いたら、「LINEとかで話しませんか?」と提案する。この提案のタイミングは、相手が返信のテンポが上がってきた頃。返信が早くなってきた時は、相手のこちらへの関心が上がってきてるサイン。そのタイミングで別の連絡手段に移ると、自然に受け入れてもらいやすい。
スカウト時代に見たDMの成功と失敗
スカウト会社でインスタ経由のスカウトをしてた時期がある。
失敗パターンのトップは長文。「はじめまして。突然のご連絡失礼いたします。私は〇〇でスカウトをしております〇〇と申します。〇〇さんのインスタを拝見して…」みたいな。丁寧なんだけど、長すぎて読まれない。
成功してたのは短いやつで、「〇〇の写真、雰囲気すごくよかったです。少しだけ聞いてもらえませんか?」みたいなそれだけで返信率が全然違った。
文章の丁寧さより、読みやすさの方が返信率に直結してた。これは路上での声かけと全く同じ。相手が受け取りやすい形で出した言葉が、一番届く。
形式的に正しいDMと、相手に届くDMは別物。正しいかどうかより、読んだ相手の気持ちがどう動くかを先に考えた方がいい。
DM一通で全部を解決しようとしなくていい。入り口を作れれば十分で、その先は会話の中で積み上げていく。

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