人って、認めてほしい生き物だよね。
誰かに「すごい」って言ってほしい。「分かる」って言ってほしい。「あなたのことをちゃんと見てる」って感じさせてほしい。その欲求は多かれ少なかれ全員が持ってる。でも恥ずかしいから表に出さない。出さないけど、満たしてくれる人には自然と引き寄せられる。
スカウトで路上に立ってた頃、毎日何十人もの女性と話してた。連絡先をもらえる時とそうじゃない時の差を観察してると、話した内容より「どう感じてもらえたか」の方がずっと影響してた。相手の承認欲求にちゃんと触れられた時、会話が変わった。
承認欲求を満たす会話って、お世辞を言うこととは全然違う。
承認欲求とは何か、正確に理解する
マズローの話は飛ばす
マズローの欲求五段階を持ち出す記事が多いけど、ここでは飛ばす。理論より現場の話の方が使えるから。
承認欲求を一言で言うと、存在を認めてもらいたい欲求。
いるだけでいい、見てもらえればいい、という根っこの部分と、すごいと思ってほしい、認められたい、という少し表層の部分がある。会話で関係するのは主に前者。存在を認められてる感覚が生まれた時、人は話したくなる。
承認欲求が高い人と低い人の違い
承認欲求って高い低いの問題じゃなくて、見えてるか見えてないかの問題だと思ってる。
誰でも持ってる。でも表に出す人と出さない人がいる。表に出してる人の方が分かりやすいけど、出してない人にも必ずある。
スカウト時代に一番刺さったのが、表に出してない人の承認欲求に触れた時だった。クールに見える人が、自分の話を受け取ってもらえた瞬間に表情が変わる。その変化を見た時、この人もちゃんと認めてもらいたかったんだ、って気づく。
誰でも持ってる、だから誰にでも使える。それが承認欲求を満たす会話の面白さ。
承認欲求を満たす会話の具体的な方法
名前を覚えて使う
これ、地味に見えて、実は強い。
人間が世界で一番反応する音は自分の名前だという話がある。カクテルパーティ効果って呼ばれるやつで、騒がしい場所でも自分の名前だけは聞き取れる。それくらい、名前には特別な反応がある。
会話の中に相手の名前を自然に入れるだけで、この人は自分の名前をちゃんと覚えてた、という体験が生まれる。覚えてた、という事実が認めてもらえた感覚につながる。
「〇〇さんってそういうの好きそうですよね」「それ、〇〇さんだから分かる話ですね」みたいに。名前を使って話しかけることで、あなたに向けて言ってる言葉ですよ、というサインになる。
スカウト時代、名前を早めに聞いて、すぐに使う習慣をつけてた。名前を呼んだ瞬間に表情が緩む女性を何度も見た。名前を呼ばれるってそれだけで、存在を認識してもらえた感覚になるらしい。
変化に気づいて言葉にする
これが承認欲求を満たす会話の中で、一番差がつく部分。
髪を切った、雰囲気が変わった、いつもより元気がない、今日なんかいい感じ。変化に気づいてくれた、という体験って、ちゃんと見てもらえてた、に直結する。ちゃんと見てもらえてた感覚は、強い承認になる。
ただし気をつけること。変化への指摘って、コンプレックスに触れる可能性がある。外見の変化は慎重に。「なんか今日雰囲気違いますね」みたいな中立的な言葉の方が安全。「なんか今日いい感じですね」はポジティブだから使いやすい。
変化に気づけるのは、普段をちゃんと見てないとできない。だからこそ、言われた側に「いつも見てくれてたんだ」が伝わる。
相手の言葉を拾って返す
会話の中で相手が使った言葉を、そのまま返す技術。
相手が「最近ちょっとバタバタしてて」と言ったら、「バタバタしてるんですね、仕事ですか?」みたいに。相手の言葉を拾って返すことで、ちゃんと聞いてたよ、というサインになる。
人って自分の言葉が返ってくると、受け取ってもらえた感覚を持つ。受け取ってもらえた感覚が積み重なると、もっと話したくなる。もっと話したくなると、会話が深まる。
オウム返しの記事でも書いたけど、連発すると気持ち悪くなる。三回に一回くらいの頻度で、自然に使う。
「それ面白いですね」より「なんでそう思ったんですか?」
承認欲求を満たす会話で一番使えるのが、続きを引き出す問いかけ。
「それ面白いですね」と言うと、承認はされてる。でもそこで会話が止まりやすい。「なんでそう思ったんですか?」と聞くと、相手はさらに話せる。話せる場所を提供してる。
話したい人に話す場所を与えることが、承認欲求を満たすことと同じ。話せた体験が、認めてもらえた体験に変換される。
スカウト時代、この質問を身につけてから会話の続き方が変わった。相手が言ったことに「なんでそう思ったんですか?」「それいつから?」「どのくらい好きなんですか?」と続けるだけで、相手がどんどん話してくれた。特別なことを言う必要がなかった。引き出すだけでよかった。
他の人が気づいてないことに気づく
表面的な部分じゃなくて、少し奥にあるものに気づくと、承認の深さが変わる。
「なんかさりげない気遣いをする人ですよね」「細かいところまで見てる人だなって感じがする」みたいに。外見じゃなくて、性格や行動のパターンへの気づき。
こういうことを言える人って少ない。だから言われた時の驚きが大きい。驚きと一緒に来る承認って、記憶に残りやすい。
ただしこれ、本当にそう感じた時だけ言う。作ると嘘っぽくなる。作った言葉って、伝わり方が違う。
承認欲求を利用しようとするのは全然違う
「満たしてあげる」という発想を捨てる
ここまで読んで、承認欲求を満たすテクニックを使えばモテるんだ、と思った人に言いたい。
テクニックとして承認欲求を「満たしてあげよう」という発想で動くと、ほぼ確実にバレる。人って、認めてもらってる感覚と、認めてるふりをされてる感覚を区別できる。
ふりをしてる人の言葉って、どこかに出る。タイミングが不自然だったり、具体性がなかったり、熱量がなかったりする。
本当に相手のことが気になってる、という状態から自然に出てくる言動が、承認欲求を満たす。技術じゃなくて、姿勢の話。
スカウトで一番うまくいってた時期って、数字を意識してなかった時期と重なってた。目の前の人が面白くて、もっと知りたくて、その気持ちが行動になってた。その状態の時、相手の承認欲求に自然に触れられてた。技術を使おうとしてた時より、ずっとうまくいってた。
褒めれば承認欲求が満たせると思ってる誤解
褒めることと承認欲求を満たすことは、イコールじゃない。
根拠のない褒めや、全員に使えるような褒めは、承認欲求を満たさない。むしろ「お世辞言ってる」と感じさせて、逆効果になることがある。
承認欲求を満たす褒めは、具体的で、その人に向けられてる。「なんか話し方が丁寧ですよね、それって意識してやってるんですか?」みたいに。観察した上で出てきた言葉。観察してたよ、という情報が含まれてる。
失敗した話
スカウト1年目の頃、褒めれば連絡先をもらえると思ってた時期がある。
「かわいいですね」「雰囲気いいですね」「モデルっぽいですよね」。言葉のバリエーションを変えながら、とにかく褒めてた。でも成績は全然上がらなかった。
なんでだろうって先輩に相談したら「褒めてるんじゃなくて、自分の感想を発表してるだけ」と言われた。
その一言、刺さった。相手のことを見てるようで、自分の評価を言ってるだけだった。お前かわいいよ、は自分の感想。相手のことを見てなかった。
それから、相手の話を聞くことに切り替えた。相手が言ったことを受け取って、もっと聞かせてという姿勢で関わる。そっちの方が圧倒的に会話が変わった。承認欲求を満たしてたのは、褒め言葉じゃなくて、聞いてる姿勢だった。
会話の中で承認欲求を満たせてる時のサイン
どうなってると満たせてるかを知っておくと、感度が上がる。
相手が自分から話し始めた時。最初は聞かれたことだけ答えてたのが、だんだん聞かれてないことも話してきた状態。それは話していい場所だと感じてる証拠。
相手の話が長くなった時。最初は短い返しだったのが、気づいたら長い話をしてくれてる。これも同じで、話してもいい、という安心感が生まれてる。
相手がこっちのことを聞き始めた時。最初は自分が聞いてたのに、「〇〇さんはどうなんですか?」って聞いてくれるようになった。これが一番いいサインで、この人のことを知りたいという気持ちが出てきてる。
この三つが起きてる会話は、承認欲求がちゃんと満たされてる状態になってるよ。

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