共感って、才能だと思ってた時期がある。できる人はできる、できない人はできない。そういうもんだと。スカウトを始めたばかりの頃、路上で声をかけた女性が話してることに全然乗れなかった。相槌は打ててる、でも何かが噛み合ってない感じが常にあった。
後輩に「なんか共感が薄いですよね」って言われた夜がある。薄い、という表現が妙にリアルだった。共感ゼロじゃないんだよ、でも薄い。その薄さが相手にバレてた。
共感できない男って、共感したくないわけじゃない。やり方が分からないか、そもそも共感の意味を勘違いしてることが多い。
共感できない男の勘違いその1・共感=同意だと思ってる
これが一番根深い。
女性が「上司がひどくて」という話をしてる。男性の頭の中は「それ本当にひどいのか?」「相手にも事情があるのでは?」「でもこういう場合は〜」という分析が走り始める。
同意できないから共感もできない、という状態になってる。
でも共感って同意じゃない。相手の感情を受け取ること。上司がひどいかどうかの判断じゃなくて、この人が今しんどいという事実を受け取ること。
路上で声をかけた女性が「仕事で嫌なことがあって」と言った時に、「それはしんどかったですね」と返すのは、その出来事が本当に嫌なことかどうかの判断をしてるんじゃない。あなたが嫌だと感じたことを受け取りました、という返しをしてる。
この区別ができてない男性が多すぎる。同意か不同意かを先に考えてるうちに、共感の窓口が閉まってしまう。
共感できない男の勘違いその2・共感=感情になりきることだと思ってる
逆のパターンも存在する。
共感しなきゃ、と思いすぎて、相手の感情に完全にシンクロしようとする。悲しい話を聞いて自分も悲しくならなきゃいけない、辛い話を聞いて自分も辛くならなきゃいけない、みたいな。
これ、無理なんだよ。感じてもない感情を演じることはできない。演じてると分かった瞬間、相手は「この人、作ってる」と気づく。作ってる共感は、ないよりマシくらいで、相手の承認欲求を満たさない。
共感って、感情になりきることじゃなくて、相手の感情が存在することを認めること。受け取るだけでいい。自分の感情を持ち出さなくていい。
なぜ男性は共感が苦手になるのか
解決しようとする本能
男性ってどうしても、問題を見ると解決したくなる。
女性が悩みを話してる時、男性の脳は自動的に「どうすれば解決できるか」を考え始める。解決策を探しながら聞いてるから、感情の部分が入ってこない。
これ、悪意じゃない。役に立ちたいという気持ちから来てる。でも受け取る前に解決しようとすると、相手は「分かってもらえなかった」となる。
スカウト時代、連絡先を交換した女性がLINEで愚痴を送ってきた時、自分は最初解決策を送り続けてた。「それはこうすれば」「その人はこういう理由で」みたいに。返信がだんだん短くなって、途絶えた。
あの頃の自分に言いたい。解決するな。受け取れ。それだけでよかった。
感情の言語化を教わってこなかった
男性って、感情を言葉にする訓練をしてきてないことが多い。
子どもの頃から「男なんだから泣くな」「男らしくしろ」みたいな圧力を受けてきた世代はなおさら。感情を表現することへの抵抗が、大人になってからも残ってる。
感情を言語化する訓練が足りないから、相手の感情を受け取った時にどう返せばいいかが分からない。分からないから黙るか、分析を返すか、アドバイスを出すかになってしまう。
共感の失敗体験
過去に共感しようとして外れた経験があると、次から出しにくくなる。
「悲しかったよね」って言ったら「別に悲しくはないんだけど」って返ってきた。「それは辛いね」って言ったら「そんなでもないよ」って言われた。外れた時の気まずさが記憶に残って、次から共感を出すのが怖くなる。
外れてもいい、という気持ちを持てるかどうかが、共感を出し続けられるかどうかを決めてる。
共感できない男が変わるための具体的な練習
感情の言葉を50個書き出す
これ、ちょっとやってみてほしい。
うれしい、悲しい、怒り、不安、恐怖。この5つくらいはすぐ出てくる。でも50個となると詰まる人が多い。
焦り、もどかしさ、虚しさ、後悔、恥ずかしさ、達成感、ホッとした感じ、じわっとした感動、落ち着かない感じ、誇らしさ。こういう言葉を知ってるかどうかが、共感の語彙力になってる。
語彙がないと、相手の感情を受け取っても「それはつらいですね」の一言しか返せない。でも語彙があると、「なんかモヤっとした感じが続いてる感じですか?」「ちょっと悔しい感じもある感じですか?」みたいに、より精度の高い共感が出てくる。
精度の高い共感って、この人に分かってもらえた感覚が強くなる。
ドラマや映画の登場人物の感情を言葉にする練習
これ、スカウト時代に自分がやってた練習じゃないけど、後輩に教えて効果があった方法。
ドラマを見ながら、登場人物が何を感じてるかを言葉にし続ける。「この人今、プライドを傷つけられた感じがしてるんだな」「この人は期待してたのに裏切られた感じがしてるんだな」みたいに。
人の感情を言語化する筋肉が鍛えられる。この筋肉が発達すると、現実の会話でも相手の感情を読んで言葉にできるようになってくる。
「感情」と「出来事」を分けて聞く
会話の中で練習できること。
相手が何かを話してる時、出来事じゃなくて感情の部分に注目する。何があったか、じゃなくて、それに対してどう感じたか。
「最近仕事が忙しくて」という話を聞いた時、「どんな仕事をしてるの?」は出来事への質問。「それしんどい感じですか?」は感情への質問。
感情に向けた質問をするには、まず感情の部分を見つけないといけない。見つけようとする意識が、共感の感度を上げる。
外した時に引かない
共感の言葉を出して外れた時、「ごめん、違った」と言って次を出せるかどうか。
外れることへの恐怖が共感を出せなくさせてる、と前に書いた。外れてもいい、という感覚を持つためには、実際に外れて、そこから回復する体験が必要。
「それは違うかな」と言われたら「そっか、どんな感じですか?」と続ける。外れたことを重くしない。次の精度を上げるための情報として受け取る。
この練習を繰り返すと、共感を出すことへのハードルが下がっていく。
共感が上手くなった時に何が変わるか
相手が話す量が変わる
共感が返ってくる相手には、もっと話したくなる。
最初は短かった返しが、だんだん長くなってくる。こっちが聞いてもないことを話してくれるようになる。これが共感が機能してるサイン。
スカウトで声をかけた女性との会話時間が、共感の精度が上がってから明らかに伸びた。同じ時間路上に立ってて、一人と話してる時間が長くなった。連絡先の話になるまでの流れが自然になった。
相手の記憶に残り方が変わる
会話の内容より、どう感じたかの方が記憶に残りやすい。
共感してくれた人との会話って、内容は忘れても「話してよかった」という感覚が残る。その感覚が「また話したい」につながる。
面白い話をしてくれた人より、ちゃんと聞いてくれた人の方が、後々印象に残ることが多い。これ、スカウト時代に何度も確認した事実。
自分も話しやすくなる
共感できるようになると、自分も話しやすくなる。
なぜかというと、共感って双方向に働くから。相手の感情を受け取ろうとする姿勢が身につくと、自分の感情を言語化する能力も上がってくる。自分の感情を言語化できると、相手に自分のことを話せるようになる。
自分のことを話せると、相手も話してくれる。自己開示の返報性がここでも働く。
共感できるようになることは、相手にとってだけじゃなくて、自分にとってもプラスになるよ。

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