スマホの画面に浮かんだ名前。……マジか。もう半年、いや一年近く連絡取ってなかった、あの子。開いてみる。「久しぶり!元気してる?よかったら、今度ご飯でも行かない?」
え、なんで今?どういうつもり?これって、脈あり?……いや待て、ただの社交辞令かも。深読みして滑ったら恥ずいし。返信の指が、止まる。
先に、肩の力を抜いていい報せから言う。女からわざわざ久しぶりに誘ってきた時点で、話の半分はもう、あんたに有利に転がってるんだよ。俺は昔スカウトをやってて、女性が誰にどう連絡を取るか、その動きの意味を読むのが仕事だった。その目線で、この一通を分解していく。
女から誘ってきた、その事実がもう答えの半分
まず、いちばん大事なとこ。あんたが必死に文面を解読する前に、知っておいてほしい前提がある。
沈黙を越えて連絡してくる、その手間の意味
連絡が途切れて、半年、一年。その沈黙を、向こうから破って、しかもご飯に誘う。これ、思ってるより、ずっと手間のかかる行動なんだよ。
考えてみ。どうでもいい相手のことを、人はわざわざ思い出さない。ましてや、長い間ほったらかしだった相手に、勇気を出して連絡なんて入れない。無関心ってのは、動かないんだ。指一本、動かさない。なのに彼女は、動いた。しばらく誰も渡ってなかった橋を、向こうから、渡ってきた。少なくとも、あんたは彼女にとって、思い出す価値のある人間だってこと。この誘いが来た時点で、それだけは、もう確定してる事実なんだよ。ここを、まず胸に置いとけ。
ただし「誘い=告白」じゃない、勘違いの二方向
とはいえ、だ。ここで浮かれすぎるのも、また違う。誘われた、イコール、彼女は俺にベタ惚れ、では全然ない。ここで男は、だいたい二方向に転ぶ。
一つは、舞い上がるパターン。脈ありだと確信して、いきなり距離を詰めにいったり、これは運命だ、みたいなテンションで重く出たり。もう一つは、逆に、冷める男。どうせただの社交辞令だろ、と決めつけて、そっけなく、のろのろ返す。……両方とも、まだ何も分かってない段階で、勝手に結論を出しちゃってるんだ。本当のとこは、まだ誰にも分からない。今の時点で言えるのは、可能性が、ほんの少し顔を出した、それだけ。それがどこまで伸びるかは、これから確かめにいくもんなんだよ。
誘いの「温度」は、文面に出てる
じゃあ、脈がどれくらいあるのか。その手がかりは、実は、誘い文句そのものに、けっこう出てる。文面の温度を、読んでみよう。
具体的な誘いか、ふわっとした誘いか
見るべきは、誘い方の具体性だ。来週あたり、前に話してたあの店行こうよ、みたいに、日取りや場所まで踏み込んで、しかも二人の思い出に触れてくる誘い。これは、かなり熱が高い。彼女がそこに手間をかけてる分だけ、本気度が乗ってる。
逆に、また今度ご飯でも、みたいな、日程も何もない、ふわっとした一言。これは、温度としては低めだ。もちろん、これがゼロってわけじゃないけど、社交的な、軽い一言の可能性もある。あと、二人でご飯、なのか、みんなで集まろう、なのか。一対一を提案してきてるなら、それはあんた個人に向いてる矢印だよ。それから、誘ったあと、彼女のほうから日程を詰めてきたり、話を進めてくれたりするか。そこまでやってくれるなら、乗り気度は、かなり高いと見ていい。
でも、判定を急ぐな。答えは当日書かれる
ただ、ここで一個、釘を刺しとく。文面の温度は、あくまで手がかりであって、確定診断じゃない。熱い誘いでも保証はないし、そっけない誘いが脈なしとも限らない。
この誘いはな、まだ何も書かれてない、白紙みたいなもんなんだよ。脈ありか、そうじゃないか、その答えは、誘いの文章の中じゃなくて、当日、その席で、二人がどう過ごすかで、これから書き込まれていく。だから、文面を何十回も読み返して、一言一句から気持ちを読み取ろうとするのは、やめとけ。ざっくり温度感だけ掴んだら、あとは、当日、直接、確かめにいけばいい。文字の裏を読むより、目の前の彼女を読むほうが、百倍正確なんだから。
差し出された手を、どう受け取るか
彼女が勇気を出して、こっちに手を差し出してきた。問題は、その手を、あんたがどう握り返すかだ。ここで、これまでの流れが、活きも死にもする。
冷たく構えるな、その手間に温度で返せ
まず、絶対にやめてほしいのが、変にクールぶること。すぐ返すと必死っぽいかな、なんて考えて、わざと返信を遅らせたり、そっけない一言で済ませたり。……これ、最悪手だ。
彼女は、しばらく音沙汰なかった相手に連絡するっていう、地味に勇気のいることを、やってのけた。滑るかもしれない、無視されるかもしれない、っていうリスクを取ったんだ。その勇気に、冷たい対応で返したら、どうなるか。彼女は、あ、迷惑だったかな、脈なしか、って一瞬で身を引く。で、しれっと引っ込めちゃう。あんたが欲しかったはずの、その勇気そのものを、自分の手で、しぼませてるんだよ。だから、素直に喜べ。いいね、行こう!ぜひ!って、あったかく、早めに返す。それが、せっかく向こうから来てくれた流れを、途切れさせない唯一の返し方だ。
両手でガシッと掴むと、相手は引く
ただし、逆に、力みすぎるのもダメだ。差し出された手を、両手でガシッと掴んで、ぐいっと引き寄せる。……これをやると、相手はビクッとして、引く(笑)。
具体的には、ずっと会いたかった!とか、実はあの頃から君のこと、みたいな、重い言葉をいきなりぶつけること。軽いご飯の誘いだったのに、こっちが勝手に、一大イベントみたいに祭り上げる。彼女は、ちょっと近況でも、くらいの軽い気持ちで誘っただけかもしれないのに、急に重いものを乗せられて、たじろぐ。ここでのコツは、彼女のテンションに、ちゃんと合わせること。向こうが軽いノリなら、こっちも軽く。相手が出してきた温度に、そっと合わせる。差し出された手は、同じくらいの力で、そっと握り返すのが、正解なんだよ。
「なんで今さら?」を、掘り返すな
再会の約束が、決まった。……よし。けど、ここで多くの男が、余計なことを口走って、空気を重くする。
空白を蒸し返した瞬間、気まずさが戻る
やりがちなのが、なんで急に誘ってくれたの?とか、そういえば、なんで連絡くれなくなったんだっけ?みたいに、ブランクを掘り返すこと。あるいは、自分から、いや〜久しぶりすぎて、なんか気まずいね、と、わざわざ空白を意識させる発言。
気持ちは分かる。長い沈黙があったんだから、そこに触れたくなる。でもな、彼女は、その気まずい沈黙を、勇気を出して、ぴょんと飛び越えてきたんだよ。誘うっていう行動で、この空白、なかったことにしましょ、って提案してくれてる。なのに、あんたがそれをわざわざ掘り返したら、せっかく飛び越えた気まずさが、また地面から、むくっと起き上がってくる。彼女に、なんで連絡しなかったのか、を説明させることになって、空気が一気に重くなる。掘るな。触れるな。向こうが越えてきたなら、あんたも、しれっと越えてこい。
ブランクより、これからの一回に集中しろ
空白は、もう過去の話だ。大事なのは、これから会う、その一回のほうだろ。過ぎ去った沈黙を、いつまでもほじくり返してる暇があったら、目の前の再会を、どう楽しい時間にするかに、頭を使え。
久しぶり、っていう事実に、あんたが緊張しすぎると、それは必ず相手にも伝染する。二人して、ぎこちなくなる。だから、ついこの前も会ってたかのような、力の抜けた顔で行けばいい。過去の空白の長さなんて、これから作る、いい時間の前では、あっという間にどうでもよくなるから。心配すんな。
当日と、その後の進め方
さあ、いよいよ当日。ここまで来たら、あとは、やりすぎないことだけ、気をつければいい。
その席を、ゴールにするな
いちばんの落とし穴は、その食事を、勝負の場みたいに気負っちゃうことだ。今日で決めなきゃ、絶対にいい印象を残さなきゃ、って肩に力が入る。……その必死さ、透けるんだよ。で、場が硬くなる。
思い出してくれ。これは、久しぶりの再会であって、決勝戦じゃない。あんたの仕事は、今日この場で何かを勝ち取ることじゃなくて、ただ、一緒にいて心地いい相手でいること。で、目の前の彼女の温度を、ちゃんと読むことだ。この笑顔は、友達としてのものか、その先があるものか。焦って白黒つけようとせず、その場の空気に、自然に発酵させる。ゆっくりでいい。答えは、勝手に見えてくるから。

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