女性の瞬きが多い心理|恋愛サインと勘違いされがちな本当の理由

向かいの席で喋ってる彼女の目元が、やけにパチパチしてる。……あれ。さっきまでこんなだったっけ。会話は普通に続いてる。でも、目のあたりだけ、妙に忙しい。

で、あんたの頭が勝手に回り出す。緊張してる。俺のこと意識してんのかな。いや待て、嘘ついてる時に瞬きが増えるって、どっかで読んだぞ。え、どっち。

昔スカウトをやってて、道端で見ず知らずの人と目を合わせる、っていう作業を、それこそ何千回とやってきた。相手の顔色を読むのが仕事だった。その現場で分かったことを話す。

目次

瞬きが示すのは、気持ちじゃなく神経の忙しさ

まず、瞬きが何と連動してるのか。ここを押さえないと、全部の解釈が的外れになる。

増えるのは、緊張と、頭の使いすぎ

人の瞬きが増えるのは、だいたい二つの状況だ。ひとつは、緊張や不安で神経が張ってる時。もうひとつは、頭をフル回転させてる時。考え事をしてる、言葉を探してる、相手の反応を気にしてる。そういう、内側の処理が重くなってる状態で、瞬きは増える。

逆に、何かにじっと見入ってる時は、瞬きが減る。映画に集中してる時とか、な。要するに、外にじっと注意が向いてる時は減って、内側がバタついてる時は増える。

つまり、彼女の瞬きが増えてるなら、読み取れるのはこれだけ。今、彼女の内側が、そこそこ忙しい。……以上。好きとか嫌いとか、そこまでは、この一個からは出てこないんだよ。

回転数は上がってる、でも行き先までは分からない

車のメーターで例えると分かりやすい。瞬きは、回転数計みたいなもんだ。エンジンがどれくらい回ってるかは分かる。でも、その車がどっちに向かってるかは、一切教えてくれない。

好きな人の前で緊張して、回転数が上がることもある。逆に、この人ちょっと苦手だな、早く帰りたいな、っていう居心地の悪さで、上がることもある。慣れない場所、初対面、変な圧を感じる相手。全部、同じように回転数を押し上げる。

だから、瞬きの多さを見て、脈ありだ、と結論を出すのは、回転数計だけ見て、この車は東に向かってる、と言い張るのと同じことだ。……無理があるだろ、さすがに。

ネットに転がってる俗説は、雑すぎる

とはいえ、検索すると、断定してる情報が山ほど出てくる。あれの何が雑なのか、はっきりさせておく。

嘘をつくと瞬きが増える、は必ずしも正しくない

いちばん有名なのが、嘘をつくと瞬きが増える、ってやつ。刑事ドラマの見すぎだ、っていう話でもあるんだけど、実際には逆の現象も起きる。

嘘をついてる最中は、むしろ瞬きが減ることがある。相手の反応を必死に確認しながら、慎重に言葉を選ぶからな。集中してるから、減る。で、嘘をつき終わってホッとした直後に、どっと増える。……この順番を知らずに、増えたから嘘だ、と決めつけると、全然見当違いの判定になる。

もっと言うと、真面目な人ほど、疑われてるかもと感じただけで緊張して瞬きが増える。嘘をついてない人が、嘘つき判定される。これ、けっこう残酷な誤審だと思うんだよな。

合図ひとつで読むのは、単語ひとつで外国語を訳すようなもんだ

根本的な問題はここ。表情や仕草っていうのは、単語じゃなくて、文章なんだ。

外国語の文章を、単語ひとつ拾って訳そうとしたら、どうなる。まるで違う意味になるだろ。瞬きだけを抜き出して意味を確定させようとするのは、それとまったく同じ作業をやってる。前後の文脈も、他の単語も無視して、一語だけで結論を出そうとしてる。

現場で何千人と向き合って、いちばん叩き込まれたのが、これだ。単独の合図には、意味がない。意味が生まれるのは、複数の合図が同じ方向を指した時だけ。ここを外すと、読んでるつもりで、自分の願望を読んでるだけになる。

それでも読むなら、まず平熱を知れ

じゃあ、まったく読めないのかというと、そうでもない。ただし、順番がある。

基準を知らないと、増えたことにも気づけない

体温計を見て、37度、と分かったとする。でも、その人の平熱が36度なのか、36度8分なのかを知らなければ、それが異常かどうか判断できないよな。瞬きも、まったく同じだ。

人によって、もともとの回数はぜんぜん違う。生まれつき多い人もいれば、少ない人もいる。だから、初対面の相手の瞬きが多いように見えても、それが彼女の平常運転なのか、今この場だけの反応なのか、判別できない。……つまり、初対面の相手の瞬きから何かを読むのは、そもそも構造的に無理があるってこと。

読めるとしたら、何度も会ってる相手だけだ。いつもの彼女を知ってるから、いつもと違う、が分かる。特定の話題を出した瞬間に増えた、とか。そういう変化にしか、情報は乗ってない。

見るべきは、瞬きと同時に出てるもの

で、変化に気づいたとして、その意味を確定させるには、周りの合図とセットで見るしかない。

瞬きが増えて、しかも体がこっちを向いてて、会話が途切れず、口元がゆるんでる。だったら、緊張の中身は、たぶん悪くないほうだ。一方、瞬きが増えて、体が少し引けてて、返事が短くなって、視線が出口のほうに流れる。……これは、居心地の悪さのサインだ。

同じ瞬きでも、隣に何が並んでるかで、意味が反転する。だから、目元だけを凝視するのはやめとけ。全体を、ぼんやり見る。そのほうが、よっぽど正確に分かるんだよ。

目の前で瞬かれてる時、やるべきこと

ここが、この記事でいちばん実用的なとこだ。解読よりも、対応の話。

意味を当てにいくな、緊張を下げにいけ

彼女の瞬きが増えてる。その時点で確実に言えるのは、彼女の内側が、今ちょっと忙しいってことだけだった。だったら、あんたがやることは、その意味を当てにいくことじゃない。忙しさを、下げにいくことだ。

具体的には、しゃべる速度を落とす。声のトーンを、少し低くする。質問攻めをやめて、間を作る。身を乗り出してたなら、ちょっと引く。……これだけで、相手の張ってた神経が、ふっとゆるむことがある。現場でも、これは何度も体験した。声をかけた直後は、相手の瞬きが明らかに増える。当たり前だ、知らない人間に話しかけられてるんだから。そこで押すと、逃げられる。逆に、こっちが半歩引いて、声を落として、ゆっくり喋ると、目元の忙しさが収まってくる。

読み取ろうとするより、緊張を解くほうに動く。そっちのほうが、結果的に、相手のことがよく見えるようになるんだ。

脈ありと決めつけて詰めた、俺の恥ずかしい話

これ、若い頃に一回やらかしてる。相手の瞬きが多いのを見て、あ、意識されてるな、と勝手に確信した。で、距離を詰めた。身を乗り出して、いい感じじゃん、みたいなことを言った気がする。

そしたら、相手の肩が、すっと数センチ後ろに引けたんだよ。グラスを持つ手が、止まった。目線が、俺の後ろの出口に、一瞬流れた。……あの時の、空気の下がり方。思い出すと、今でも背中がヒヤッとする。緊張は緊張でも、中身は真逆だった。俺が読んでたのは彼女の心じゃなくて、自分の願望のほうだった、ってことだ。

恋愛傾向まで読み取るのは、無理がある

最後に、瞬きの多さから性格や恋愛傾向を占おうとする話。ここも、はっきりさせておく。

瞬きの回数は、性格診断じゃない

瞬きが多い女性は、繊細で、恋愛では慎重で、みたいな分類。……あれ、根拠がない。瞬きの回数は、その瞬間の神経の状態を映してるだけで、その人の性格や恋愛スタイルを示す固定の指標じゃないんだよ。

同じ人でも、リラックスした部屋と、緊張する面談の席では、まるで違う数字になる。状態によって動くものを、性格の判定に使うのは、無理筋だ。それより、彼女が何を話すのが好きで、どういう時に笑って、どんなことに時間を使ってるか。そっちを見たほうが、百倍、その人が分かる。

コンタクト、乾燥、花粉。それだけのことも多い

あと、これを忘れてる人が多すぎる。瞬きが多い理由の中には、心理でも何でもない、単純に物理的なやつが、山ほどあるんだ。

コンタクトレンズが合ってない。エアコンで空気が乾いてる。一日中パソコンの画面を見てて、目が疲れてる。花粉の時期で、目がかゆい。……あんたが必死に心理を読み取ろうとしてるその瞬き、ただのドライアイかもしれないんだよな。しかも、無意識のうちに瞬きが増える体質的なものや、目の不調が理由のこともある。そういうものを恋愛のサインとして解読しようとするのは、失礼だし、単純に的外れだ。

観察するのは悪いことじゃない。相手の状態に気づけるのは、いいことだと思う。ただ、目の前の人を、答え合わせの対象みたいに見始めると、会話が観察になる。……で、その視線は、なぜか相手に伝わるんだ。じっと分析されてる感じって、居心地悪いだろ。

瞬きの回数を数えてる時間があるなら、彼女の話をもう一段、掘って聞いたほうが早い。そっちのほうが、目元をどれだけ凝視するより、ずっと正確に、彼女のことを教えてくれるから。

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