一度も断られたことがない相手が、いちばん遠かった。
これに気づくまで何年かかったかな。誘えば来る。頼めばやってくれる。感じもいい。なのに、半年経っても関係が一ミリも動かない。
路上でも同じ現象があった。全部聞いてくれる子ほど、来ない。無理です、と三秒で切る子の方が、後から連絡が来る確率は高かった。丁寧さと関心は別物なんだよ。並べて置くと混ざるけど、まったく違う場所から出てる。
優等生タイプの女性を相手にすると、この混線が最大化する。読み方を変えないと、たぶん一生かみ合わない。
優等生女子は性格分類じゃなく、身につけた運用方法
まずここ。生まれつき真面目な人、と括ると本質を外す。
期待を外さないことを最優先に組まれてる
小さい頃から、できる子として扱われてきた。褒められた経験が積み重なると、それを維持する方向に行動が固まっていく。
だから優先順位の一番上が、自分の欲求じゃなく、周囲の期待。悪気とか自己犠牲とかいう話じゃなくてね。そう動く方が楽になるまで最適化された結果なんだ。
断れないんじゃなく、断り方を習ってない
ここを誤解してる男が多い。気が弱いわけじゃないんだよ。
断ると空気が悪くなる、その処理コストの方が高い、と学習してる。だから引き受ける。引き受けて、家で消耗する。断る技術を練習する機会が人生の中になかった、というだけ。
結果として、好き嫌いが表に出ない
全員に同じ距離で接する。誰にも同じ返信速度で返す。定規で引いたみたいに揃ってる。
揃ってるから、こっちが特別かどうかを測る材料が消える。これが優等生タイプ攻略の全難易度を作ってる。
外から見える特徴と、その内側にある理由
特徴だけ並べても意味がないから、なぜそうなるかまで書く。
予定を先に埋める
空白の時間が落ち着かない。何もしてない自分に耐性がないタイプでね。
手帳が三週間先まで埋まってる。誘っても、この日しか空いてなくて、と返ってくる。冷たくされてるわけじゃない。本当に埋まってる。
自分の話をほとんどしない
聞き役がうまい。質問がうまい。会話が終わった後、こっちのことは全部話したのに、相手の情報がほぼ増えてない。
自分の話をすると評価されるから、避ける癖がついてる。ここに気づける男は少ないよ。喋りやすかった、で満足して帰っちゃうから。
弱音を吐く相手が、極端に少ない
みんなから頼られる位置にいるのに、本人が誰かに頼った形跡がない。
大丈夫そうに見えるから、誰も聞かない。聞かれないから言わない。この循環が何年も続いてる人がいる。
脈ありの読み方が、他のタイプと根本から違う
普通の判定方法が全部使えなくなる。ここが最大の落とし穴。
やってくれたこと、は情報にならない
差し入れをくれた。手伝ってくれた。誘いに応じてくれた。全部、他の人にもやってる。
親切の総量で測ろうとすると、必ず読み違える。この人の親切は好意の関数じゃないから。ここを外すと、勘違いから始まって関係ごと壊すことになる。
見るべきは、こっちの前でだけ出るほころび
完璧を維持してる人が、特定の相手の前でだけミスをする。言い間違える。笑いすぎる。物を落とす。
あれが一番信用できる。作れないから。緊張してる相手の前では制御が落ちるんだよ。他の人の前ではきっちりしてるのに、自分といる時だけ雑になるなら、そこに何かある。
予定の入れ方が変わったら本物
三週間先まで埋めてた人が、こっちのために枠を空け始める。あるいは、この日は空けときますね、と先に言ってくる。
行動の優先順位が組み替わってるということ。この人にとって、それは自分の運用方法を壊す行為だから、かなりの意思が入ってる。
近づく時に、男がほぼ全員やらかすこと
やり方を間違えると、こっちも評価者の列に並ぶことになる。
すごいね、は褒め言葉じゃなく採点
一番言いがちなやつ。仕事が丁寧だね、しっかりしてるね、頭いいね。
悪気はないよね。でも受け取る側からすると、また採点された、で終わる。この人たちは生まれてからずっと採点され続けてきてて、そこに一票追加されても何も動かない。むしろ、この人の前でも成績を維持しなきゃ、という負荷が増える。
助けるより、評価しない場所になる
やることは逆でね。何もできてなくても平気な場を作る。
くだらない話をする。生産性ゼロの雑談をする。だらしない自分を先に見せる。そういう時間が、この人たちにとっては驚くほど貴重なんだ。
俺が長く関係を続けられた相手には、共通して、俺が一番情けない話をしてた。強く見せようとしたことは一度もない。
断れる形にしないと、返事の意味が消える
ここは本気で守った方がいい。
断るのが苦手な人に、断りにくい形で誘うと、返ってくる、はい、に情報が入らなくなる。行きたいから来たのか、断れなくて来たのか、こっち側で判別できない。
人数を増やす。時間を短く区切る。文字で送って考える時間を渡す。行けなかったら全然いいから、を先に添える。そのうえで来た時だけ、それは意思のある、はい、になる。
全部のはいを好意と読んで、地面が抜けた話
二十代の終わり。バイト先で一緒だった子。
誘えば来る。三回連続で来た。俺はもう決まったと思ってた。四回目の帰り道で少し踏み込んだら、その日から予定が合わなくなった。
しばらくして共通の知人に言われたよ。あの子、断るのがすごく苦手だから、と。
言われた瞬間、耳鳴りみたいなのがした。信号が青に変わっても、しばらく渡れなかった。
イントネーションが、三回とも同じだった
思い返して背筋が寒くなったのが、返事の声の高さ。
いいですよ、の抑揚が、三回とも完全に同じだった。楽しみにしてる人の声じゃない。業務連絡の声。俺は聞いてたのに、聞いてなかった。
自分に都合のいい方に音を変換してたんだと思う。あれ以来、返事は内容じゃなく声の高さで聞くようになった。
断れない人の同意を、同意として扱うな
これは反省というより、覚えとけって話。
立場の差が少しでもあるなら、なおさら。相手が動かなかったことを許可と読む男は、いつかどこかで人を傷つける。俺は一回やってる。だから書ける。
付き合えた後の方が、実は難しい
ここまで来ても課題は残る。というか、ここからが本番。
不満を溜めて、ある日まとめて出す
その場で言わない。言えない。だから何ヶ月分かが一度に出てくる。
こっちからすると、いきなり爆発したように見える。実際は少しずつ渡されてたサインを全部見落としてただけ。定期的に、嫌なことなかった、と聞く習慣を作るしかない。聞き方も軽く。深刻にすると答えなくなる。
頼る練習に、年単位で時間がかかる
頼っていいよ、と言っても頼らない。習慣がないから。
こっちが先に頼るといい。小さいことでいいから、任せる。頼られる側は慣れてるからスムーズに動ける。それを何度か繰り返してるうちに、少しずつ逆方向が出てくるようになる。
何もしなくていい時間を、意識的に作る
予定を空けるのが苦手な人に、空白を渡す。これが一番効いた。
行き先を決めない外出とか、目的のない散歩とか。最初は落ち着かない顔をしてるけど、そのうち慣れる。
あの子がいつだったか、俺のくだらない話に声を出して笑って、慌てて口を押さえたことがあった。周りに誰もいなかったのに。今でもあの場面だけ、やけに鮮明に残ってる。

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