相手をリラックスさせる話し方、場を溶かす技術

緊張してる人を前にすると、なんか自分まで固くなるんだよね。

相手がリラックスしてくれない、会話が続かない、なんか噛み合ってない感じがする。そういう時って、たいてい「どうしたらリラックスしてもらえるか」を考えすぎてる。考えてる顔って、どこかに出る。出てるから、相手がさらに身構える。

スカウトを始めた頃、これで相当苦労した。路上で声をかけた女性が固まってる。なんとかしなきゃと思って、いろいろ話しかける。でもやればやるほど相手の肩が上がっていく。

何年も路上に立ち続けて分かってきたのは、相手をリラックスさせようとすること自体が、リラックスを遠ざけてる、ってこと。

目次

リラックスは「させるもの」じゃない

相手の緊張は、自分の状態が映ってる

これ、最初は信じられなかった。

緊張してるのは相手の問題で、自分には関係ない、って思ってた。でも違った。人って、目の前にいる人の状態を無意識に読んで、それに同期する。相手が落ち着いてると、こっちも落ち着いてくる。相手がそわそわしてると、こっちもなんか不安になる。

スカウトの先輩で、声をかけた瞬間から相手がすっと落ち着く人がいた。話術とか特別なことを言ってるわけじゃない。ただ立ってる時の重心が低い。声のトーンが安定してる。それだけで、話しかけられた女性の肩が下がっていくのを何度も見た。

相手をリラックスさせたいなら、まず自分が落ち着いてること。身も蓋もないけど、これが全部の前提になってる。

「リラックスさせよう」という意図が伝わる

面白いことに、相手をリラックスさせようとしてる人の話し方って、分かる。

やたら穏やかにしようとしてる、わざと笑いを入れてくる、声のトーンが作られてる感じがする。その作られてる感が、逆に緊張を生む。人って、自然じゃないものに対して無意識に警戒する。

スカウトでよく見た失敗がこれで、場を和ませようと笑いを取りにいく後輩がいた。面白いこと言おうとしてるのが丸見えで、女性が引いてた。笑いが起きたとしても、この人、なんか演じてる感が残る。

意図を持って近づく、これ自体が圧になる。

相手が固くなる本当の理由

「評価されてる」感覚が緊張を生む

初対面の人と話す時、人は無意識に「この人に評価されてる」という感覚を持つ。

どう見られてるか、変なことを言ってないか、印象はどうか。その意識があるから、言葉を選びすぎて固くなる。表情が作られたものになる。

これを溶かすために必要なのは、評価してないよ、というサインを出すこと。言葉でそれを言っても意味がなくて、態度と話し方で滲み出るもの。

スカウトで声をかけた時に女性が固まるのも、同じ理由。見知らぬ人に突然話しかけられたら、まず「この人は何者で、何を求めてるのか」を判定しようとする。判定してる間は固い。判定が終わって「大丈夫そう」となった瞬間に、肩が下がる。その判定を早く終わらせてあげることが、リラックスへの一番の近道。

沈黙への恐怖が場を固める

沈黙が怖くて、何か言わなきゃと焦る。焦りが声に出る。声に出た焦りが相手に伝わる。相手も焦る。場が固まる。

この連鎖、本当によく起きる。

沈黙って、そんなに悪いものじゃない。むしろ関係が温まってきた証拠として沈黙が来ることもある。でも沈黙恐怖症の人は、来た瞬間にパニックになって変なことを言う。そのズレが、場の空気をおかしくする。

実際に相手の緊張が解ける瞬間

笑いより「共感」が先に緊張を解く

面白いことを言って笑わせようとする人がいるけど、緊張を解くのに笑いは必須じゃない。

むしろ共感の方が速い。「分かります、自分もそういう時あって」みたいな一言で、相手は「あ、この人は自分と同じ感覚を持ってる」となる。その瞬間に、評価してる側とされてる側、という非対称な関係が崩れる。対等な感覚が生まれる。対等になった瞬間、人は緊張が解けていく。

声をかけた女性が「ちょっと今疲れてて」って言った時、「あー分かります、自分も今日なんかそういう感じで」って返したら、表情がふっと変わった。疲れてる同士、みたいな共通点ができた感じ。共感は一瞬で距離を縮める。

自分の弱点を先に出す

これ、スカウトで一番使ってた方法かもしれない。

完璧に見せようとしてる人と話すと、こっちも完璧にしなきゃってなって疲れる。でも相手が先に「実は〇〇が苦手で」とか「さっきちょっと道を間違えて」みたいな小さな失敗や弱点を出してくると、一気に肩の力が抜ける。

自分の弱点を出せる人って、相手に「あなたのこと信頼してるよ」というサインを出してる。そのサインを受け取ると、こっちも信頼を返したくなる。心理的な返報性みたいなもので、先に開いた人に対して、相手も開いていく。

路上で声をかけた時、「実はちょっと緊張するんですよね、こういうの」って言ったことがある。スカウトマンが緊張するってどういうこと?ってなって、そこから会話が始まった。完璧な人間を演じるより、ちょっとダサい部分を見せた方が、人は近づいてくる。

相手のペースに合わせる、ただそれだけ

話すテンポ、声の大きさ、笑いのタイミング。これを相手に合わせるだけで、受け取り方が変わる。

早口な人に対してゆっくり話してもいいし、静かな人に対して声量を下げてもいい。合わせることって、「あなたのことを見てますよ」という非言語のメッセージになってる。見られてる、と感じた人は安心する。安心した人は緊張が解ける。

スカウトで声をかける時、最初の数秒で相手のテンポを読む習慣がついてた。早口か、ゆっくりか。声が高いか、低いか。そこに合わせて自分のトーンを調整してから話し始める。これだけで、初対面の会話の入りが全然違う。

相手をリラックスさせる話し方の具体的な要素

声のトーンを一段下げる

高いトーンの声って、興奮してるか緊張してるか、どちらかのサインとして伝わる。

落ち着いた場を作りたい時、声のトーンを意識して一段下げてみる。ゆっくり、低く、はっきり。この三つが揃うと、話を聞いてる側に安心感が生まれる。

声が高くなってる時って、自分が焦ってる時と一致してた。焦ると声が上ずる。上ずった声で話しかけると、相手も「この人、何か焦ってる」って感じ取る。深呼吸して声を落とす、これだけで場の温度が変わる体験を何十回もした。

視線の使い方

じっと見すぎると怖い。でも全然見ないと興味がないように見える。

ちょうどいいのは、話してる時は適度に視線を外して、相手が話してる時はちゃんと顔を見る。これ、逆になってる人が多い。自分が話してる時に相手の目を見続けて、相手が話してる時にどこか別の方向を向いてる。

相手が話してる時にちゃんと顔を見てると、「ちゃんと聞いてくれてる」が伝わる。聞いてもらえてる、と感じた人は話しやすくなる。話しやすい状態って、リラックスしてる状態と同じ。

あと、目線の高さ。目線が高いと、上から見てる圧が出る。特に座ってる相手に立ったまま話すとか、身長差があるとか。意識して目線を下げる、相手と同じ高さに合わせる、それだけで威圧感がなくなる。

間を怖がらない

会話に間ができた時、すぐに埋めようとしない。

一呼吸おいてから話す癖をつけると、話し方全体にゆとりが生まれる。ゆとりがある人と話すと、こっちもゆとりが生まれてくる。せかせかしてる人と話すと、こっちも焦ってくる。それと同じ。

スカウトで一番落ち着いて見えた先輩は、会話の間が長かった。相手が何か言って、一秒くらい待ってから返す。その一秒が、「ちゃんと考えて返してくれてる」感になってた。間を怖がらない人って、それだけで信頼感が出る。

話題より「反応」で場を作る

面白い話題を用意しようとするより、相手が言ったことへの反応を丁寧にする方が、場が温まるのが速い。

「え、それってどういうこと?」「それ面白いな」「なんかそれ分かる気がする」。内容は薄くていい。でも反応が返ってくると、相手は「ちゃんと聞いてもらえてる」となる。聞いてもらえてる感覚が積み重なると、だんだん話しやすくなってくる。

話すより聞く、これって言葉では知ってるんだけど、実際に緊張してる状況だと忘れて自分が喋り始める。喋り始めると、相手は聞き役になって疲れてくる。聞くことに徹してる間は、相手が自分のペースで話せる。自分のペースで話せてる人は、リラックスしてる。

やってはいけない「リラックスさせようとする行為」

過剰に褒める

緊張をほぐそうとして、やたら褒める人がいる。

「すごいですね」「さすがですね」「そんなこともできるんですか」。連発されると、「この人、お世辞言ってる」ってなる。お世辞を言われてる状態って、リラックスどころか逆に「何が目的なんだろう」って警戒させる。

褒めるなら一回、具体的に。「さっきの話、面白かったです」より「さっきの〇〇の話、自分にはない視点だなって思って」の方が、ちゃんと聞いてたよ、が伝わる。

笑わせようとジョークを連発する

場を和ませようとして、笑いを取りにいく人がいる。

笑いって、取れれば最高なんだけど、滑った時のダメージがある。しかも笑わせようとしてる意図が透けると、相手は「楽しいふりをしなきゃいけない」プレッシャーを感じる。楽しいふりをしてる状態って、疲れる。疲れてる状態はリラックスじゃない。

笑いは狙うものじゃなくて、会話の中で自然に生まれるもの。自然に生まれた笑いは、場を温める。作られた笑いは、場を疲弊させる。

相手の緊張を指摘する

「緊張してますか?」「固くならなくていいですよ」

善意なのは分かるんだけど、これをやると相手は「緊張してることに気づかれてた」と意識する。意識した瞬間に、もっと緊張する。緊張してることを指摘するのは、緊張に注目させてるのと同じ。

見えてても、見えてないふりをする。それが優しさ。スカウトで緊張してる女性に声をかける時、緊張してるね、って言ったことは一度もない。見えてても、会話の内容で自然に解けるのを待つ。それだけで、相手の反応が変わり始める。

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この記事を書いた人

ブログの著者プロフィール

元スカウトマン
どう声をかけたら止まってくれるか、どんな話題で心を開いてくれるか、どんな言葉で信頼してもらえるかを徹底的に研究するようになりました。
今はスカウトの現場を離れましたが、あの頃に培った実戦の会話術は、普通の恋愛やデート、職場での人間関係にもめちゃくちゃ役立つと思っています。

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