好きな人へのLINEの話しかけ方|一通目で既読スルーされない形

トーク画面を開く。何も打たずに閉じる。また開く。 それを五回やった夜がある。二十歳のとき。

結局その日は送らなかった。翌朝、おはよう、とだけ送った。 そこから三週間、俺は毎朝それを続けることになる。結末は後半に書く。ろくな終わり方じゃない。

言葉を探してる時間は、たいてい無駄になる。 探すべきなのは文面じゃなく、相手が返せる状態かどうか。この違いが分かると、送信ボタンが急に軽くなる。

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何を書くかより、いつ送るかで差が出る

交換したなら、二十四時間を超えるな

俺は路上で連絡先を聞く仕事を長くやってた。相手は俺の顔をほとんど覚えてない状態で家に帰る。 そこから何時間空けるかで、返信率が露骨に変わった。

翌日の夜までに送ったぶんは返ってくる。三日空けると、誰これ、になる。 駆け引きのつもりで寝かせる男がいるけど、忘れられる速度のほうがずっと速い。相手の記憶に残ってるうちに一発だけ置いておく。

これは職場や学校でIDをもらった場合も同じ。渡された当日か、遅くとも次の日。

二十一時台に返信が集まる理由

朝と昼に送ったものは、既読はつくが返事が遅れる。手が離せないから。そのまま埋もれる。 深夜は逆に重い。零時過ぎの通知って、内容がなんであれ、少し湿って届く。

一番いいのは二十一時から二十二時半のあいだ。風呂上がりで、寝るまでに時間があって、指が暇な時間帯。 何を送るか三時間悩むより、送信時刻を二時間ずらすほうが効くこともある。

三行を超えたら、読む前に閉じられる

長い文には、返信の労力が見える。相手は開いた瞬間にそれを計算する。 面倒だと判断されたら、あとで返そう、が発動する。あとで、は来ない。

一通目は二行。長くて三行。 削れないなら、書いてる内容が自分のためのものになってる。

質問で始めるのが正解とは限らない

質問は、返信の義務を作る

これ、逆張りに聞こえると思うけど。 一通目にやたら質問を入れると、返信率そのものは上がる。ただ、そこから続かない。

質問された側は答える。答えたら会話が一区切りつく。義務を果たしたから、そこで手を離せる。 返さなきゃ、で動いた相手は、返した瞬間に自由になる。

義務で返ってきた一通は、二往復で消える

俺の記録だと、質問を三つ並べた一通目は、返信は来るのに三往復までいかないケースが多かった。 逆に、昨日は話せて楽しかった、くらいの短い一言だけ送ったほうが、そのあと会話が伸びた。

返す義務がない状態で返してくれた相手だけが、次に進む。 選別されてるようで気分は悪いけど、時間の使い道としては正しい。

三秒で答えられるものだけ残す

どうしても質問を入れるなら、考え込ませないこと。 今日の仕事どうだった、はしんどい。相手は近況をまとめる作業に入る。

昨日の店のやつ、辛いの平気なほうだった? これなら三秒で終わる。選択肢が二つあるだけの問いは、指が勝手に動く。

焚き火と同じでさ。いきなり太い薪を乗せると火が消える。最初は紙一枚でいい。

会話が一度もない相手に、どう最初の一通を作るか

用事は、借りてくればいい

用がないと送れない、と思ってる人が多い。用は作れる。 グループトークがあるなら、そこで出た話を個別に持っていく。この前の飲み会の写真、誰かに送るついでで送っとくね、で成立する。

職場なら、業務の一行に一行足す。 資料の件、あれで問題なかったです。あと、この前おすすめしてくれた店、行った。

借り物の用事に、自分の一行をくっつける。それだけで個人のトークが始まる。

相手が詳しくて、こっちが知らないことを聞く

これが一番返ってくる。 人は、自分のほうが知ってる話題では返信が速い。教える側に立てるから。

音楽でも、犬でも、住んでる街でも。相手のほうが上にいる話題を選ぶ。 恋愛の駆け引きとして下手に出るんじゃなく、実際に知らないことを聞けばいい。嘘の質問は文面に出る。バレる。

名乗りの一行を、省くな

すごく初歩的な話に聞こえるけど。 LINEの登録名がニックネームやアルファベットの男、けっこういる。相手の画面に、誰か分からない通知が届いてる。

昨日〇〇で話した者です、の一行。あるかないかで返信率が変わる。 恥ずかしがってこれを抜く男が、俺の周りにも何人もいた。

毎朝おはようを送り続けた、三週間

返信があったのは、最初の四日だけ

冒頭の続き。 一日目、おはよう。返ってきた。二日目、返ってきた。四日目まで来た。

五日目、既読だけ。 そこで止めればよかった。俺は、続ければ伝わると思った。

一週間、二週間。既読の時刻だけが毎日並んでいく。 朝六時半に起きて文面を考えてた自分を、今なら止めに行きたい。

友達伝いに届いた一言

三週目の終わり。共通の知り合いから言われた。 あれ、ちょっと怖いって言ってたよ。

聞いた瞬間、耳の奥で音が遠くなった。 その場は笑って流した。帰り道、コンビニの前で立ち止まって、送信履歴を上から下まで見た。二十一通。全部同じ挨拶。

自分が積み上げたつもりのものが、向こうの画面ではただの繰り返しだった。 今でもあの二十一通を思い出すと、後頭部のあたりがざわつく。

熱量を見せる場所を、間違えてた

俺がやってたのは、量で誠実さを示す作業。 相手からすると、こちらの都合が毎朝届いてるだけ。

熱量は回数で伝わらない。一通の中に、その人にしか送らない具体が入ってるかどうか。 おはようの二十一通より、相手が話してた映画を覚えてた一通のほうが強い。当時の俺はそれが分からなかった。

止まったトークを、もう一度動かす

久しぶり、から入ると弱い

久しぶり、元気? これ、相手に何を返せばいいか分からない状態を渡してる。しかも、放置してた期間を意識させる。

理由をつけたほうが早い。 駅前にできたラーメン屋、前に話してたやつだよな。

こっちが相手の発言を覚えてた事実が、一行で伝わる。そこが再開の入口になる。

既読スルーの追撃は、日を変えて話題も変える

同じ話題で二通目を送ると、催促になる。 どうしても送りたいなら、最低でも四、五日空ける。そして前の話には触れない。まったく別の入口から入る。

一回だけ。それで動かなければ、そこは畳んでいい。 畳むのは負けじゃなく、次に手が空くってこと。

犬の話で返信が跳ねた、弟分の件

去年、弟分が相談してきた。相手とはLINEはあるが会話ゼロ。 俺が言ったのは、相手が詳しいことを一個聞け、それだけ。

そいつは、相手が犬を飼ってるのを知ってた。で、実家で犬を飼おうと思ってるんだけど、初心者向けの犬種って何がいいと思う、と送った。 返ってきたのは、画面をスクロールしないと読めない長さの文だったらしい。

翌週には通話してた。半年後に付き合った。 きっかけは犬種の相談。恋愛の言葉なんて一つも入ってない。

送る言葉を三時間磨くより、相手が喋りたいことを一つ思い出すほうが早い。 たぶんそれ、もう知ってるはずなんだよな。

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