立ち話って、会話の中で一番難易度が高いと思ってる。
座ってるわけじゃないから、いつ終わってもおかしくない。相手はいつ「じゃあ」って言い出すか分からない。その緊張感がある中で、なんとか盛り上げようとする。でも焦りが出て、空回りする。気づいたら相手が「あ、そろそろ行かなきゃ」ってなってる。
スカウトで路上に立ってた7年間、立ち話しか存在しなかった。座る場所もない、お茶を飲む余裕もない、ただ路上に二人で立ってる。その状態で会話を温めて、盛り上げて、連絡先まで持っていく。これを毎日何十回もやってきた。
立ち話を盛り上げるのに特別な話術はいらない、って言いたいところなんだけど、それだけじゃ何も変わらないから、もう少し具体的に話すよ。
立ち話が難しい理由
終わりがいつでも来る、という緊張感
座って向かい合ってる状態と、立って話してる状態の一番の違いがここ。
立ち話ってどちらかが一歩踏み出せば終わる。その「終わりがいつでも来る」感が、会話してる側に影響を与える。焦って詰め込もうとする。詰め込もうとすると、話が一方通行になる。一方通行になると盛り上がらない。
スカウトで路上に立ってた頃、最初の頃の自分がまさにこれだった。相手が立ち止まってくれてる時間が有限だと思って、早口でいろんな話題を詰め込もうとしてた。なのに相手はどんどん引いていく。詰め込んでるから引かれてた、って気づいたのはだいぶ経ってから。
環境が会話に影響してる
路上、廊下、エントランス前。立ち話が起きる場所って、たいてい落ち着かない環境にある。
騒音がある、人が通る、天気が悪い。こういう環境的な要因が会話の集中度を下げる。相手の声が聞こえにくかったり、視線が気になったりする。その分、話の内容より空気感の方が優先される。立ち話が盛り上がるかどうかって、話の面白さより、二人がその場で同じ空気を共有できてるかどうかの方がずっと影響してる。
立ってるから体の向きが重要
椅子に座ってると体の向きが固定される。でも立ち話は体が自由だから、向きが会話の温度を左右する。
正面を向き合ってると、どこか対決してる感じになる。少し斜めに、かつ距離が適切だと、圧が減って話しやすくなる。スカウトで声をかける時、真正面に立つと相手の肩が上がるのを何度も経験した。少し体を斜めにするだけで、同じことを言っても受け取り方が変わる。体の向きって言葉より先に相手に届く情報だから、ここを意識してる人は少ないんだけど、差がつく部分だったりする。
立ち話が盛り上がる人と、そうじゃない人の違い
盛り上がる人は「終わり」を意識してない
逆説的なんだけど、立ち話が上手い人って、終わりを気にしてない。相手がいつ「じゃあ」と言い出すかを考えながら話してないから、焦りが出ない。焦りが出ないから声のトーンが落ち着いてる。落ち着いたトーンで話しかけられると、相手もなぜか帰りにくくなる。
スカウトで声をかける時、連絡先を取ることをいったん忘れた日が、一番うまくいった日と一致してた。目的を忘れた状態で話してると、声に余裕が出る。余裕がある人と話すと、人はもっと話したくなる。目的があることと、目的を意識しすぎることは違う。立ち話を盛り上げたいなら、盛り上げることより目の前の人に集中することの方が先。
テンポじゃなくて「間」を使ってる
立ち話が盛り上がらない人の共通点が、喋り続けること。
沈黙が来ると怖いから、次の話題を投下する。また投下する。その繰り返しで、相手が入れる隙間がなくなる。相手が入れないと、一方通行の話になる。一方通行の話は、聞いてる側が疲れる。盛り上がってる立ち話って、間がある。ちゃんと間がある。その間に相手が何か言う。その言葉を受け取る。そこから広がる。このキャッチボールが成立してる。
スカウト時代の先輩で、立ち話だけで30分普通に話してた人がいた。観察してたら、めちゃくちゃ間があった。相手が言った後、一拍置いてから返してた。その一拍が「ちゃんと受け取ってる」感になってて、相手がどんどん話したくなってた。
話題より「反応」を武器にしてる
立ち話が盛り上がらない人って、面白い話題を探してる。
でも立ち話の短い時間で、一から面白い話を組み立てるのはしんどい。そんな必要もない。相手が言ったことに、ちゃんと反応するだけで会話は続く。
「え、それどういうこと?」「なんかそれ分かる気がする」「それ、続きが気になる」。この三つだけ持っておけば、正直どんな立ち話でも引っ張れる。話題を作るより、相手の話を転がすことの方が、立ち話では機能する。
場面別、立ち話を盛り上げるアプローチ
職場の廊下や給湯室
ここでの立ち話、一番よく起きるのに一番ぎこちなくなりがち。お互い仕事中という意識があって、長く話すのも悪いかなってなる。その気持ち分かるんだけど、だからこそ短くてインパクトがある一言が刺さる。
「さっきの会議の話、なんか面白かったですね」「今日なんか忙しそうですね、大丈夫ですか」。仕事の文脈から出てきた一言は、話しかける正当性がある。相手も身構えない。
ポイントは、長くしようとしないこと。1分で終わっていい。むしろ1分で終わらせた方が、次また話しかけやすくなる。立ち話のたびに10分取られると思われると、相手が避け始める。短く終われる人の方が、結果的に何度も話しかけてもらえる。スカウトで路上に立ってた頃の応用で言うと、短く切り上げることを自分から先にやると、相手の中に「もっと話したかったな」が残る。その残り方が次の会話のきっかけになる。
共通の知人がいる場での立ち話
合コンの後、パーティーの中、友人の集まりの隅っこ。共通の知人がいる状況での立ち話。
ここで使えるのが、共通の知人を入り口にする方法。「〇〇くんと仲良いんですか?」「あのグループってどういう繋がりなんですか?」みたいな。話しかける理由がある状態を作れる。
ただこれ、共通の知人の悪口に流れると一発で場が死ぬから注意。あくまでも繋がりを知る質問に留めておく。悪口は笑いを取れるように見えて、その場では笑いが起きても後味が悪い。
街中でのすれ違いや偶然の再会
知り合いと街で偶然会った時の立ち話。
これが一番難しいというか、一番テンションの管理が大事。久しぶりだと「久しぶり〜!」ってテンションが上がりやすい。でも相手が急いでたり、誰かと一緒だったりすると、そのテンションが圧になる。
まず相手の状況を一秒で読む。急いでそうか、一人か、余裕がありそうか。読んでから声のトーンを合わせる。急いでそうなら「あ、今忙しそうですね、またゆっくり話しましょう」で引ける準備をしながら話す。その引き方ができると、相手も無理に話し続けなくていいという安心感が生まれて、逆に少し立ち止まってくれることがある。
スカウト時代に身についたのが、相手の状態を見てからアクセルを踏む習慣。状態を見ずにアクセルを踏むと、たいていズレる。
盛り上がらない時に絶対やってはいけないこと
話題を次々変える
立ち話が盛り上がらないと、話題を変えて打開しようとする。
映画の話、天気の話、仕事の話、旅行の話。どれも反応が薄い。また変える。これやってる間、相手の中では「この人、何が話したいんだろう」という疑問が積み重なってる。
話題を変えることで盛り上がりを取りにいくより、一個の話題を深掘りする方が立ち話では機能する。浅く広く移動してる会話って、どこにも根が張らないまま終わる。一個を掘った方が、短い時間でも印象が残る。
笑いを取りにいく
立ち話を盛り上げようとして、ウケる話をしようとする人がいる。
笑いって、場が温まった状態で起きるもの。まだ空気が固い段階で笑いを狙いにいくと、ハードルが高い。スベった時のダメージが大きい。しかも笑わせようとしてる意図が透けると、相手が気を使い始める。笑ってあげなきゃ、みたいな状態になると、消耗させてる。
笑いは作るものじゃなくて、会話の中から自然に生まれるもの。生まれたら一緒に笑えばいい。作ろうとしなくていい。
相手の時間を奪いすぎる
立ち話って、お互いに他のことがある中でしてる会話がほとんど。
それを無視して延々と話し続けると、相手は「早く終わらせたい」モードに入ってくる。そのモードに入ってしまうと、何を話しても上の空になる。上の空になった相手と話し続けても、盛り上がるわけがない。
切り上げるタイミングを自分から作れる人の方が、立ち話は上手い。会話の温度が高い瞬間に「じゃあまた話しましょう」って引ける人間は、相手の記憶にいい状態で残れる。余韻があるまま終われると、次の会話への期待感が生まれる。
立ち話を盛り上げた時の共通点
路上での立ち話が本当に盛り上がった日のことを振り返ってみると、ほぼ全部に共通してることがある。
相手のことを本当に面白いと思ってた日。
技術とか話題とか関係なく、目の前の人が面白くてもっと知りたいと思ってた時の会話は、自然に続いてた。声のトーンが違う。表情が違う。相手もそれを感じ取って、なぜか話したくなってた。
盛り上がる立ち話の条件って、結局そこに行き着く。話術じゃなくて、相手への本物の興味。興味がある状態で話してると、相槌のタイミングも、次の質問も、全部自然になる。自然だから相手が乗ってくる。乗ってくると会話が続く。
立ち話を盛り上げるコツを探してる人に、一個だけ持って帰ってほしいことがある。
盛り上げようとするのをやめること。
盛り上げようとしてる間、頭の中が自分に向いてる。自分に向いてる間、相手が見えない。相手が見えてない人の話し方って、どこかに出る。出てる感を相手は受け取る。盛り上げようとするのをやめて、目の前の人に興味を向けた瞬間から、立ち話の感触が変わる。話の内容よりそこが一番大切なんだよね!

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